【TECH TUESDAY和訳・解説】フロントウイングはどう変わる?
今年、8年ぶりにF1の技術レギュレーションが大きく変わる。主にマシンのエアロ部分だが、その狙いはマシン同士が接近しやすくするためだ。
速さを追求する上で複雑化したF1マシンは、引き換えに風の乱れに敏感になってしまった。他のマシンが起こす気流の乱れが影響し、ダウンフォースが急激に減り、マシンの挙動が安定しなくなってしまうのだ。
マシンが乱流を起こさないようにし、また乱流の影響も受けづらくするようにレギュレーションは作られた。ここでは、そのレギュレーションでフロントウイングはどう変わるのか、見ていこう。
メインフラップがノーズから直接伸びるような形状に
前述の目的を果たすために、フロントウイングでまず手が付けられた場所は「Y250ボルテックス」と言われるエリアだ。フロントノーズとメインフラップの間の250mmの隙間だ。
今までこの場所では、メインプレーンの内側の端にで気流を加速させるための渦流が作られていた。その気流は後方のバージボードへ向かい、バージボードでマシン外への乱流になっていた。
その乱流をなくすために、Y250ボルテックス、またバージボードが存在できないようなレギュレーションになった。
渦流に関して言えば、メインフラップの端の形状も、渦流を起こさせないような形になるように規制されている。
メインフラップ
そもそも、ダウンフォース量が多いこと自体が乱流による影響が大きくなる原因だ。そのため、マシンが持つダウンフォースが少なくなるようにもレギュレーションは書き換えられた。
メインフラップの数は5つから4つへ減らされた。さらに「迎え角」と「隙間」「重複部分」を制限された。
フラップの「迎え角」は、限度はあるが、基本的に大きいほうがダウンフォースを生み出せる。新しいレギュレーションでは、フラップが存在できるエリアがより狭くなり、なりゆきでフラップの迎え角も制限されるようになった。細かく言えば、フラップの内端では角度をある程度つけられるが、外端ではほとんどつけられなくなった。
フラップの「隙間」は、基本的に狭いほうが気流を加速でき、ダウンフォースを増やせる。しかしその隙間は5mmと、比較的広くされた。
そしてフラップの「重複部分」が大きいほど、フロントウイングの性能は高くなる。この部分も30mmと、以前よりはるかに小さく制限された。
エンドプレート
フロントウイングの左右にあるエンドプレートは、以前と比べて小さく、そして単純なものになる。
エンドプレートの主な役割は、メインフラップを通過する気流が外へ逃げないようにすることだが、今回の変更はエンドプレート後端が発生させる渦流を低減するためだ。
フロントノーズ
フロントノーズの形状も厳しく規制された。「親指ノーズ」「ノーズの穴」「ケープ」「Sダクト」がすべて消え去ることとなった。
すべてはマシンが起こす乱流を減らすため、またダウンフォースを減らし、乱流の影響を低減するためだ。
このレギュレーションのなかで各チームはどう速さを得るのか、2月23日から始まる公式テストは必見だ。